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舞園「私、枕営業なんてやってません!」

2 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 01:52:11.17 ID:+ymBr8ga0

苗木(そう、その出来事は、昼休み…舞園さんの様子がおかしいことに気付いたその時から始まった)

苗木「舞園さん、どうかした? 元気がないみたいだけど…」

舞園「苗木くん…。…あの、…いえ、何でもないです。私ちょっと用事があって…失礼しますね」

舞園さんは皆が楽しく談笑する中、わずかな愛想笑いをボクに向けて教室を出ていってしまった。
その笑顔はいつも彼女が見せる、直視できないほどに眩しい笑顔と違い、どこか弱々しく曇っていた。

葉隠「苗木っち~。一緒に昼飯食うべ! そんで俺におかずを分けるべ!!」

苗木「うわっ、葉隠くん驚かさないでよ…」

朝日奈「葉隠はほっといてさ、苗木も舞園ちゃんも私たちと一緒にごはん…あれ? 舞園ちゃんは? さっきまでいたのに」

苗木「……」

朝日奈「ん? 苗木、どしたの?」

苗木「ごめん、ボクもちょっと用事を思い出したんだ。お昼ご飯は皆で食べててよ!」

朝日奈「あ、苗木!? もう、二人ともどうしたんだろ?」

セレス「……苗木くんには珍しくしっかりと行動したようですわね」

朝日奈「え?」

山田「ぐふふ…フラグのにおいがぷんぷんしますぞ~」

セレス「黙りなさい、この豚が」

3 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 01:53:42.65 ID:+ymBr8ga0

舞園さんはあっさりと見つかった。
女子トイレから口元を抑えて出てくるところをあっさり発見できたのは、ボクには珍しい幸運だったかもしれない。

苗木「舞園さん! 大丈夫?」

舞園「苗木くん…」

彼女の顔は先ほどよりも青ざめていて、とても隠しきれるものではなかった。

苗木「舞園さん、体調が悪いなら保健室に行った方が…」

舞園「本当に大丈夫ですから…苗木くんの気持ちは嬉しいですけど、放っておいてもらえませんか?」

苗木「そんな青い顔してる人を放っておけるわけないよ! だって…」

舞園「友達だから…ですか?」

苗木「友達だから…って」

舞園「ふふ、私、エスパーですから…。…苗木くんは、優しいですね」

苗木「僕はそんな…優しいだなんて、ただ舞園さんに何かあったらって…そう思ったらいてもたってもいられなくなったんだ」

舞園「やっぱり、優しいですよ。…だから、そんな苗木くんを、私は…」

苗木「え?」

舞園「…………なんでもないです」

彼女は何か言おうとしていた言葉を飲み込んで頭を横に振った。

舞園「本当は、こんなこと誰にも話したくなくて…さっきはああ言いましたけど…。…苗木くん、相談に乗ってもらえませんか?」

苗木「! う、うん。ボクで良ければ!」

4 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 01:54:37.64 ID:+ymBr8ga0

そうして僕たちは屋上前の踊り場にやってきた。
屋上は一部関係者以外の出入りは禁止されているし、ここなら誰かがきてもすぐにわかる。

舞園「……まず、これを見てください」

舞園さんは深刻な表情でスカートのポケットからスマホを取り出すと、とあるWebページを開いて僕に渡してくれた。

苗木「何、これ…絶望掲示板…?」

【枕】超高校級のアイドル(笑)舞園さやかを語るスレ【ビッチ】

1 :希望にかわりまして絶望がお送りします :2013/08/19(月) 22:22:28.62 ID:???

さあオマエラ 超高校級のビッチ舞園さやかについて語りなさい

2 :希望にかわりまして絶望がお送りします :2013/08/19(月) 22:24:14.11 ID:???

こいつ枕営業してるってマジなん?

3 :希望にかわりまして絶望がお送りします :2013/08/19(月) 22:28:54.14 ID:???

マジらしいよ。何でもしてきたって噂聞いたし。
何でもしてきたっつーと枕しかないっしょwwwwwwwwww

4 :希望にかわりまして絶望がお送りします :2013/08/19(月) 22:29:33.51 ID:???

失望しました・・・765プロのファンになります・・・

っていうかマジクソだわ、幾らつぎ込んできたとおもってんだよ。ツイッターで拡散しとくわ(笑





その掲示板にはそんな見るに堪えない罵詈雑言が延々と書き込まれていた。

5 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 01:56:51.08 ID:+ymBr8ga0

舞園「……マネージャーさんから、インターネットの掲示板とかは見たら駄目だよってずっと言われてたんですけど。ある日突然メールでその掲示板のアドレスが送られてきて…」

舞園「最初は気にしないようにしてました。だけど、そういう噂、少しずつ広がってるみたいで…」

苗木「そんな…」

舞園「いつか、今みたいにアイドルをできなくなるんじゃないかって思うと、怖いんです」

舞園「私、枕営業なんてやってません! 苗木くんは…苗木くんは信じてくれますよね!?」

…以前だけれど、舞園さんに打ち明けられたことがある。
「アイドルになるために、何でもやってきた」と。
だけれどそれを語る舞園さんの目の奥に見える輝きは、決してこの掲示板に書かれているようなことをしている人間には出せないものだと、僕は思っていた。

苗木「信じるよ。舞園さんがそんなことするわけないって、ボクはわかってる」

腕に縋り付いてくる舞園さんを落ち着けるように、優しく声をかける。

舞園「苗木くん…ひっく…ぐすっ…ありがとう…」

上目遣いで僕の方を見る舞園さんの目尻には涙が溜まっていて、こんな時なのにドキリとしてしまう自分が恥ずかしくなる。

6 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 02:00:06.93 ID:+ymBr8ga0

苗木「…少しは落ち着いたかな」

舞園「はい…」

苗木「その、それでさ…」

どうしたらいいか、正直ボクは取り得なんてない普通の高校生だ…。
だけど頼りになる仲間がいる、だから誰かの力を借りよう、と話をしようとしたその時。

舞園「……あの、苗木くん。……あの時の話の続きを、聞いてくれませんか」

舞園さんが先に口火を切ることになった。
彼女の目は真剣だ、ここで腰を折るべきじゃないなと判断して、話を聞く体勢を整える。






舞園「……以前、苗木くんには話しましたよね」

苗木「その、アイドルになる為になんでもしてきた…って話だよね?」

舞園「はい……。……苗木くん、世の中にアイドルになりたがってる女の子ってどのくらいいると思いますか?」

苗木「え、そんなの想像もつかないな…。…でも、やっぱりアイドルに憧れる人って、相当多いんじゃないかな」

舞園「…そうですね…本当に多いです。でも、その中で成功をつかめるのなんて本当に一握りだけ」

それは、ボクにだってわかる。
夢があっても、それを叶えることなくその世界を去っていく人のほうが多いことくらい。

舞園「……私、今のグループに入る前、とある養成所にいたんです。そこには、アイドルを夢見る女の子達がたくさんいました」

苗木「…………」

舞園「同じ養成所にいても、みんなに均等にチャンスが与えられるわけじゃありません。業界の人の目に止まらないといけませんし、そのアピールの為に、他の人の活躍を見せないようにしたり……」

生き残る為に、本当に色々なことをしました。
そう呟く舞園さんの顔は、とても辛そうで、こっちも胸が痛くなるほどだった。

7 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 02:01:44.80 ID:+ymBr8ga0

舞園「そしてある日、とっても大事なオーディションで、養成所に入った頃からずっといっしょだった友達と、二人で最終選考まで残ったんです」

舞園「その子の家はあまり裕福でなくて…このオーディションで残れなければもう養成所をやめることになっていました。……だけど、選考を通れるのは一人。だから、私はその友達を……友達を……」

舞園「蹴落としたんです」

舞園「自分の、成功の為だけに……」

舞園「その子は、『最初から恨みっこなしだよ』って決めてたから…と、笑ってくれました。でも、私は……」

苗木「舞園さんは」

舞園「え…?」





苗木「舞園さんは、だからこそ、その友達の為にもアイドルをずっと続けていきたいって…思ってるんだよね」

舞園「はい……そう、です。私が摘み取った人達の夢の分も、私は、アイドルを続けたくて…!」

苗木「わかった。……ボクに何ができるかはわからないけど、この問題の解決…ボクも協力させて欲しい」

舞園「……っ、ありがとう……。ありがとう、苗木くん……」

そうしてまたぽろぽろと涙を流す舞園さんを、ボクは昼休みが終わるまで慰め続けた。

8 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 02:08:07.32 ID:+ymBr8ga0


苗木「とはいっても、ボクにはこういうことに対処する知識は何もない…だから誰かに協力してもらおうと思うんだ」

舞園「協力……ですか?」

苗木「この掲示板の内容……誰かに知られるのは嫌かもしれないけど、ボクにはその……舞園さんを慰めることくらいしかできないから」

舞園「くらいなんかじゃありませんよ。……本当に、話を聞いてくれるだけで私は嬉しかったんです」

苗木「あ、あはは、それなら、良かったけど……。えっと、その、それでさ、その協力をしてもらう人のことだけど……>>9 なんてどうかな?」


1:霧切
2:不ニ咲
3:江ノ島


9 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/28(水) 02:08:52.14 ID:wEcRYqZMo

2

10 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/28(水) 02:10:32.97 ID:+ymBr8ga0

ありがとうございます
ではちーたんに相談してみるルートで書き進めていこうと思います。
順調に行けば続きは明日深夜に投稿出切ると思います(結局のところ霧切さんなんかも出てくると思いますが…

それでは、読んでくださった人がいたらありがとう


16 : ◆hxk3Owz3QA :2013/08/29(木) 02:49:22.82 ID:1n/lL29W0


不ニ咲「……酷いね、このBBS……」

放課後。
ボク達は不ニ咲さんにあの踊り場に来てもらい、事情を話した。

苗木「ボクと舞園さんじゃどうしていいかわからなくて……不ニ咲さんならこういうインターネットでのトラブルにも詳しいんじゃないかって思ったんだ」

舞園「ごめんなさい不ニ咲さん、私のせいで……」

不ニ咲「いいよぉ、友達だもん。……えっと、それでね、この掲示板は普通のレンタル掲示板みたい」

舞園「レンタル掲示板、ですか?」

不ニ咲「そういう会社とかのおかげで簡単に掲示板を設置できるサービスのことだよ。……でも、ちょっと対処は難しいかも」

苗木「えっと、どういうことかな?」

不ニ咲「一応、誹謗中傷に利用されている掲示板は、報告すれば運営さんに削除してもらえるけど……それじゃあ結局、トカゲの尻尾切りだよね?」

苗木「確かに、そうだよね……似たような掲示板が作られたら同じことになっちゃうし……」

舞園「それじゃあ、どうしたらいいんですか……? このまま、ほとぼりが冷めるかもわからないのに、我慢してるしかないんでしょうか……」

17 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 02:51:12.75 ID:1n/lL29W0

不ニ咲「……ううん、本当はやっちゃいけないことだけど……こっちからこの運営さんのサーバーに入り込んで情報を探れば……この掲示板を作った人は特定できるかもしれないね」

不ニ咲「でも……この人は言ってしまえば掲示板を作っただけだし……特定したところで何を出来るわけでもなさそうだけど……」

苗木「不ニ咲さん、それでも…お願いできないかな?」

舞園「……」

苗木「こんなこと友達だからって頼むのは間違ってるかもしれないけど……その後のことはボク達のほうでなんとかしてみるから」

舞園「……私からも、お願いします。掲示板を作った人も、話せばそういうことをやめてくれるかもしれませんし……」

不ニ咲「…………わかった、やってみる。ちょっと時間をもらえるかな? たぶん、明日か明後日くらいになると思うんだけど……」

舞園「わかりました。……本当にごめんなさい不ニ咲さん、面倒なことに巻き込んでしまって」

不ニ咲「だ、だからいいよぉ。……だって、友達が困ってるんだもん、自分に出来ることがあるなら協力するよ」

苗木「……ね? 舞園さん、相談してよかったでしょ?」

舞園「……はい、二人ともありがとうございます」

18 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 02:53:36.92 ID:1n/lL29W0

そして不ニ咲さんとはその場で別れ、ボクは舞園さんと二人きりになる。

苗木「えっと、ボク達も寄宿舎に戻ろうか?」

舞園「あ…苗木くんさえよければ、カフェテラスに寄っていきませんか?」

苗木「えっ…! ぼ、ボクなんかがいっしょでいいのかな」

舞園「苗木くんじゃなきゃダメですよ。相談にのってくれたお礼ですから。あ、不ニ咲さんにも今度別にお礼しなきゃいけませんね」

苗木「あ、そ、そか。うん、そりゃそうだよね」

舞園さんがボクごときをデートに誘うなんてそんなことないよな……。

舞園「ちゃんとしたデートはまた今度ですよ」

苗木「!?」

舞園「ふふっ…私、エスパーですから」

毎度のことだけど鋭すぎるよ……。

19 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 02:55:35.24 ID:1n/lL29W0


そして二人でカフェテラスへと向かっていると……。

苗木「…あれ? 江ノ島さん?」

意外な人が情報処理室から出てくるのを発見した。

江ノ島「ん? ああ、苗木と舞園ちゃんじゃーん。どしたの? デート?」

舞園「どうでしょう? そうかもしれませんね」

苗木「えっ!?」

舞園「ふふっ」

江ノ島「絶望的にお熱いねえ…」

苗木「も、もう…それより江ノ島さんはどうしたの? コンピュータールームで調べ者でもしてたの?」

江ノ島「ま、そんなとこかな。それにしても舞園ちゃんさー、こんなのと絡んでてパパラッチに写真でも撮られたら大変じゃない?」

舞園「大丈夫ですよ。ここはマスコミの人は入ってこられませんから」

江ノ島「まーそうだねー。私なんかは恋愛の一つや百個してもむしろハクがつくくらいだけど、アイドルは面倒そうだしね」

舞園「ふふ、ご心配どうもです」

江ノ島「ま、苗木。あんまりがっついて襲ったりすんじゃないわよ」

苗木「そ、そんなことしないってば!」

江ノ島さんはいたずらっぽく笑って、手を振って去っていった。
全く、江ノ島さんはいつもボクをからかってばかりだ…。





江ノ島「ま、マスコミは入ってこれないよね…。でもスクープを狙うのはそれだけじゃなかったりして…うぷぷ」

20 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 02:57:57.34 ID:1n/lL29W0

苗木「今日は空いてるみたいだね…」

舞園「はい、良かったですね」

希望ヶ峰学園の学食やカフェテラスのメニューのレベルは軒並み高く、生徒達に物凄い人気がある。
カフェテラスは放課後、勉強や雑談に利用する生徒も多く混雑していることが多いけれど、今日は珍しく空いていた。

舞園「今日は私がお礼する日ですから、注文してきますね。苗木くんは何にしますか?」

苗木「そんな、悪いよ。ボクが行くから……」

舞園「お礼なのに意味ないじゃないですかー。奢りますよ?」

苗木「だ、だからそんなのしてもらうほどのことは……」

舞園「苗木くん? こういう時は素直に受け取るものですよ」(にっこり

苗木「…う、は、はい…」

有無を言わさぬアイドルのスマイルに気おされ、ボクは頷いた。

苗木「じゃあ、ボクは…」

舞園「ココアですね? わかりました」

苗木「ココアで……って、なんで知ってるの?」

舞園「私、エスパーですから。…っていうのはいつもの冗談で…この間苗木くんが注文してたのを見てたんですよ。それで、好きなのかなぁって」

苗木「あ、あはは、そっか。びっくりしたよ……」

21 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 02:59:24.26 ID:1n/lL29W0





そして舞園さんは、しばらくしてトレイにプリンアラモードとアイスココアを載せて確保しておいた席にやってきた。

苗木「ば、晩御飯前だけど大丈夫?」

舞園「ふふっ、甘いものは別腹です♪」

苗木「それならいいけど。…ほら、アイドルといえば体型の維持とかも大変そうだしさ」

舞園「あー、苗木くん、太るっていいたいんですか?」

苗木「そ、そういうわけじゃなくてさ! ま、舞園さんはその、凄くスタイルも、いいけど……」

うう、ボクは何を言ってるんだ…。

舞園「ありがとうございます」

そんな彼女はいつもの笑顔、流石アイドル、それくらいは言われなれているのだろう。

舞園「でも本当に大丈夫ですよ? ステージとかではすっごい運動量ですし…食べないとどんどん痩せて言っちゃうくらいなんですから」

苗木「へえ、やっぱり過酷なんだね……」

そしてボクはアイスココアにストローを突き刺し、少し啜る。
舞園さんも、スプーンを小さな口に運んで一口。
ピンク色の、潤う唇に少し視線を向けてしまって…。

舞園「あの、苗木くん、そんなにじっと見て…どうかしました?」

苗木「あ、そ、その、なんでもないよ! 見られてたら食べにくいよね! ごめん!」

舞園「あー、さてはプリンが欲しいんですね? だめですよーって普通なら言うところですけど。苗木くんになら一口上げてもいいですよ?」

苗木「えっ!?」 

22 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 03:01:23.71 ID:1n/lL29W0

苗木(で、でもそれって間接キスじゃ…)

舞園さんはにっこりと笑うとテーブルの横から新しいスプーンを取って、プリンの端をすくいあげる。

苗木(ですよねー)

舞園「期待しちゃいましたか?」

苗木「え”」

舞園「ダメですよ、私も恥かしいですから…」

苗木「そ、そおそそそそそんなこと考えてないよ!!」

舞園「ふふふ」




朝日奈「あの二人アツアツすぎるよ~。もー、ドーナツおいし~けどさびし~な~」

大神「あまり食べ過ぎるな、朝日奈よ…」

23 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/29(木) 03:02:14.90 ID:1n/lL29W0


その日の深夜 不ニ咲千尋の部屋。

PCに囲まれ熱のこもり易いその部屋は、夏も終わりかけのその夜でも冷房は全開だった。
千尋は複数のキーボードを叩きつつレンタル掲示板の運営サーバーに侵入を試みていた。

不ニ咲「本当はこういうの専門外だし、絶対に良くないことだけど…友達の為、悪用はしないから許してください…」

誰に謝るでもなく、呟くように言う。

そして千尋はあのレンタル掲示板の作り手のアカウント情報を程なく手に入れることが出来たが…。

不ニ咲「…やっぱり、でたらめっぽいなぁ…」

この手の掲示板を作る人間が、まともにアカウント情報を作成するとは思えないという予想は見事に的中した。
となると、この人間がどこからアクセスしているのかくらいしか情報は手に入らないか…と思ったところで、ふと妙なものが目に付いた。

不ニ咲「住所…希望ヶ峰学園?」


30 : ◆hxk3Owz3QA :2013/08/30(金) 12:49:49.53 ID:yXTsUjR70

不ニ咲「苗木くん…。苗木くん? 聞いてる?」

苗木「あ、ご、ごめん! ちょっとぼーっとしててさ!」

不ニ咲「えっと、最初から話したほうがいいかな?」

苗木「ううん大丈夫だよ。えっと…あの掲示板を作った人の住所欄が、希望ヶ峰学園になってたって話だったよね?」

不ニ咲「そうなんだ…アクセス履歴もしっかりとここのパソコンからになってたし…うう、どうしよう。この学園の誰かがそんなことするなんて…」

苗木「ま、待ってよ不ニ咲さん。それでもまだ学園の内にいる誰かが犯人だって決まったわけじゃないよね?」

不ニ咲「……うん、一応はそうだけど……。希望ヶ峰学園中枢に侵入するならともかく、生徒が使うPCを遠隔操作するくらいなら何とか出来ると思うし…」

でも…。と不ニ咲さんは言葉を濁す。

苗木(そこまで迂遠なことをする必要があるのか……ってことだよね……)

苗木「とにかく、まだこのことは舞園さんには話さないでおいてくれるかな。…中途半端に言っても、彼女を不安がらせるだけだと思うから」

不ニ咲「うん、そうだね。ボクは後で情報処理室で使用履歴なんかを調べてみるよ。何かわかったらメールするね?」

苗木「うん、わかった。本当にありがとう不ニ咲さん」

31 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/30(金) 12:52:44.79 ID:yXTsUjR70


そして二人でいつもの踊り場から廊下へ出ると……。

山田「苗木誠殿~!」

超高校級の同人作家、山田一二三がその丸い体を揺らしながらどたどたとこちらへ走ってきた。

山田「探しましたぞ苗木誠殿! 携帯に何度も連絡を差し上げたのに何故出られないのですかな!?」

苗木「や、山田くん? ごめん、ちょっと電源切ってて…」

不ニ咲「そんなに急いで…何か大変なことでもあったの?」

山田「そ、そうですぞ! 苗木誠殿との舞園さやか殿との熱愛報道がマスコミにすっぱ抜かれたらしいですぞ~!」ブタブタ

苗木「……え?」

山田くんが何を言ってるのか一瞬理解しかねた。

苗木「な、何を言ってるの? ボクと舞園さんはそんな……」

山田「と、とりあえず教室に戻って舞園さやか殿に話をきいてくだされ。ボクはここで休んでいきますので…」ブタブタ

苗木「う、うんわかった。伝えてくれてありがとう山田くん!」

32 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/30(金) 12:54:40.11 ID:yXTsUjR70

ボクは山田くんから詳しい話を聞く前に走り出し、教室へと戻った。

放課後の教室内には舞園さん、朝日奈さん、霧切さんが残っていて。
朝日奈さんは青い顔をする舞園さんを懸命に励ましていて、霧切さんは壁にもたれかかって何かを考えているようだった。

苗木「舞園さん!」

朝日奈「あ、苗木!」

舞園「あ、苗木くん……」

苗木「えっと、山田くんから少し話しは聞いたんだけど…どういうことになってるのかな」

舞園「……はい。その、あの掲示板に……こんな画像がアップされてたんです」

舞園さんのスマホに映された画像を見て、ボクは固まってしまった。
それは、ボクと舞園さんが、カフェテリアに座って、今にも……その、キスしそうなほど顔を近づけている画像だったからだ。

苗木「こ、これ……えっと、こんなこと、昨日はしてないよね?」

不ニ咲「……はあ……はあ……。多分、画像編集ソフトを使った捏造だよね……」

ボクの後から、走って息を切らせた不ニ咲さんが教室へと入ってきた。

舞園「不ニ咲さん……」

不ニ咲「ふう……。ごめん、舞園さん。掲示板の削除は事前に依頼してたけど、ああいうところってすぐに動いてくれるわけじゃないから……」

舞園「いえ、不ニ咲さんのせいじゃありません……もちろん、苗木くんのせいでも……。でも……」

舞園さんは不安そうな顔で窓の外を見る。

朝日奈「そうそう、もう校門の前とか、マスコミがすっごい押しかけてきてるんだよ! なんだか、いろんなテレビ局とかにあの画像が送られてるんだって!」

苗木「そんな……」

33 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/30(金) 12:57:26.58 ID:necomimi

舞園「マネージャーさんに言われました。しばらく学園で大人しくしてなさいって…。どうすればいいんでしょう、私…」

舞園さんは今までこういったスキャンダルなんかとは無縁のアイドルだった。
だからこそ、対応に戸惑っているのだろう、これほどまでに打たれ弱い一面を見せている。

霧切「舞園さん、苗木くん」

舞園「あなた達は本当に、その写真にうつっているような行為はしていないのね?」

苗木「そうだよ! ぼ、ボクと舞園さんは、一緒にお茶をしていただけで…」

舞園「はい、苗木くんの言うとおりです」

霧切「朝日奈さんも同じ場所にいたのよね? 二人の言ってることは本当?」

朝日奈「えっ? うーん、ずっと二人の方を見ていたわけじゃないからわかんないけど…。二人とも仲良くお話してただけだったよ?」

霧切「そう……。それなら捏造は確定として、問題はどうやって元の写真を撮ったか、ね」

不ニ咲「そうだよね……。ここのセキュリティからしてマスコミの人だって入り込めない筈だし……」

舞園「……」

霧切「一番の可能性としてありうるのは、この学園内の関係者が撮ったということ」

不ニ咲「……!」

不ニ咲さんがボクに視線を送り、そして目が合った。
どうやら思いついたことは一緒らしい。

霧切「第二に関係者がマスコミを招きいれた場合。第三は…まあありえない可能性だけどマスコミが何とかして侵入した場合ね」

舞園「学園内の、誰かが……?」

34 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/30(金) 12:58:33.17 ID:yXTsUjR70

苗木「舞園さん落ち着いて…。まだ何も決まってないし、わかってないんだ。学園内の誰かが舞園さんを落としいれようとしてるだなんて考えないほうがいいよ」

舞園「わかってます。わかってますけど、でも……事実として……!」

霧切(……これも超高校級の絶望が引き起こしていることなのかしら、ね。だとしたら……)

霧切「舞園さん、あなたは超高校級のアイドルなのでしょう? それがこの程度のスキャンダルで折れそうになってどうするの」

舞園「……!」

苗木「霧切さん、そんな言い方…! 舞園さんはアイドルである前にここの生徒で……」

霧切「いいえ、ここの生徒である以上、あなたは超高校級のアイドルでなければならない。それが一度くらいの捏造による報道に負けていいのかしら」

不ニ咲・朝日奈「……」

舞園「確かに、そうです、けど……」

霧切「……結構な騒ぎになっているけれど、学園のほうからマスコミに対処する様子はない。舞園さんは先ほど事務所に連絡を入れていたし、そちらでもあの写真は捏造であるという記者発表をしているでしょう」

霧切「後は、自分達で何とかしなければいけないわ。……超高校級のアイドル、舞園さやか、あなたがね」

霧切「この程度のトラブルで揺らぐような人気のアイドルならば、学園はあなたの在籍について再考することも考えられる。……それでもいいの?」

舞園「そんなの……そんなの」

苗木「舞園、さん?」

舞園「そんなの、嫌に決まってるじゃないですか!」

35 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/30(金) 13:00:00.72 ID:yXTsUjR70

舞園「私は……まだ皆と……」

舞園さんが、一瞬だけボクに目を向けてくれた気がした。

舞園「皆と、一緒にいたいです」

霧切「そう、それなら打開策を考えるとしましょう」

舞園「え? でも。今自分で何とかしろ、って……」

苗木「舞園さんが築いてきた絆も、舞園さんの一部ってことだよ。……そういうことだよね。霧切さん」

霧切「……ふん、苗木くんの癖にわかってるわね」

不ニ咲「うん! ボクにも出来ることがあれば協力するよ」

朝日奈「もちろん私もだよ!」

舞園「……皆、ありがとう。……あはは、なんだか最近、助けられてばかりです」

舞園さんの顔に、少し笑顔が戻る。

そしてボクは、その笑顔を目にして一つの解決策を思いついていた。

舞園さん自身がマスコミの前で弁明したとしても、余計に報道を加速させるだけだろう。
だったら…原因となってしまったボクが泥を被ればいいんじゃあないかって、ボクはそう考えたんだ。

ボクはこれを舞園さんに

1話してから実行する

2話さないで実行する


↓1でお願いします 今日はここまでです ありがとうございました


38 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [sage]:2013/08/30(金) 13:21:26.61 ID:cbUvECeZ0

2


44 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 14:13:13.41 ID:j137111S0

むくろ「ねえ、盾子ちゃん」

江ノ島「何よ、吐き気がするほど残念なお姉ちゃん」

むくろ「今回のことって、何か意味があってやってるの?」

江ノ島「ハ? 意味? 絶望的に察しが悪い姉だなー」

江ノ島「そ ん な の あ る わ け な い じ ゃ ん ?」

江ノ島「あのアイドルのキラッキラした顔がちょっとイラっときたからぁ、絶望に落としてやろうかなーって思っただけだよ♪」

江ノ島「ま、他にも予備の奴等がどれだけ指示通りに動くかっつー実験もかねてるけどね…うぷぷ」

むくろ「そう……」

江ノ島「あれ? あれあれ? もしかしてこの残念なお姉ちゃんは同情とかしちゃってるわけですか?」

むくろ「別に」

江ノ島「ま、精々私様の足を引っ張らないことだな」

むくろ(……)

45 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 14:14:40.88 ID:j137111S0

不ニ咲「苗木くん…話って何かな?」

霧切「……そうね、苗木くんのことだから無駄なことではないと思うけど」

教室の中で舞園さん、朝日奈さん。
そして遅れてやってきた山田くんがあれやこれやと対策を考えていたその間、ボクは不ニ咲さんと共に廊下に出ていた。

苗木「その、不ニ咲さんと霧切さんには話しておこうと思って……」

ボクは、これからやろうとしていることを二人に説明した。

正直、凄く呆れられると思うけど……それでも。

霧切・不ニ咲「…………」

ああ、やっぱり。
霧切さんは少し目じりを怒らせて、不ニ咲さんは不安そうにこちらを見ている。

霧切「……苗木くん、あなたは本当にそれでいいの?」

苗木「舞園さんに言うと止められそうだから、協力してもらう為にも二人には話しておこうと……思ったんだけ……ど」

ダメかな。と。

霧切「私はあなたが本当にそれでいいなら止めない。……私は探偵だしマスコミに対しての正しい対処を出来る自信はないから」

不ニ咲「でも、マスコミの人とかに、苗木くんのこと、報道されちゃうかもしれないよ……?」

霧切「そうね、舞園さんがいるから訴えられることなんかはないでしょうけれど。苗木くんの悪評は世間に知れ渡ってしまうでしょうね」

苗木「それでも、さ……。ボクって、以前セレスさんにナイト認定されたんだけど……」

霧切さんと不二咲さんが、何を言っているんだという顔で首をかしげる。

46 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 14:15:27.20 ID:j137111S0

苗木「なんていうか、舞園さんのナイトになりたいんだ。ボクなんかじゃ不相応だろうけど……」

苗木「ボクは、舞園さんにこれからもアイドルを続けてほしいから」

霧切「……………………そう、勝手にしなさい。……私は、舞園さんの傍にいるから」

苗木「ありがとう、霧切さん。……不ニ咲さんは、ちょっとついてきてもらってもいいかな。遠くかて見てもらうだけでいいから、さ」

不ニ咲「うん……わかったよ」

ああ、流石に実行するとなると少し足が震えてきた。
……決して、舞園さんに親切を押し付けたいわけじゃない。
自分に酔っているわけでもない。

ボクはただ……。

苗木(好きな人の力になりたいだけなんだ)

47 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 14:16:45.71 ID:j137111S0

学園の校門前に、多くのマスコミが群がっている。
門が閉まっていて同然入ることは出来ないけれど、どうやら舞園さんが出てくるのを待っているらしい。

不ニ咲「苗木くん、本当にやるの……?」

苗木「うん、不ニ咲さんはここにいてね」

不ニ咲さんには玄関前に待機していてもらい、ボクは震える足でゆっくりとマスコミ達の前に歩き出した。

マスコミA「お、おい。あれって写真の相手の男じゃないか!?」

B「すいませーん! 今回流出した写真について質問があるんですがー!」

C「舞園さやかさんとお付き合いしているというのは本当ですか!?」

向けられるマイクの群れ。
向けられるカメラのレンズ。
向けられる好奇の視線。
それらを前にボクは……。

苗木「本当にすいませんでした!!」

地面に両手を付いて、頭を下げた。

マスコミ「…………?」

ボクの突飛な行動にマスコミも呆気に取られたのだろうか、再び質問責めが始まる今の静寂のうちに……!

48 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします [saga]:2013/08/31(土) 14:17:33.01 ID:j137111S0

苗木「今回のあの写真は、ボクがある人に頼んで作ってもらって捏造したものです!」

苗木「ボクは、舞園さんのファンで……。少し前に彼女に冷たくあしらわれてからイライラして、作ってもらった画像をあの掲示板にアップロードしてしまいました!」

苗木「それが、こんな大事になることなんて思わなくて……本当にすいませんでした!!」

畳み掛けた。
話していく内にマスコミの熱がどんどん冷めていくのが見なくてもわかる。

A「……えー、じゃあキミは何? 舞園さんの同級生ではあるんだよね?」

苗木「はい。……でも、ボクは幸運でここに来ただけで、舞園さんは格が違う人だから……」

B「ぷっ、幸運だって」

C「じゃあさ、画像は誰に作ってもらったの? …あ、もしかしてさっきから遠くにいるあの子? あの子って超高校級のプログラマーの不ニ咲千尋さんだよね」

苗木「はい。…ボクが彼女に無理矢理頼み込んで作らせました」

D「……んだよ。ただのガキの先走りか……」

A「さやかちゃんも出てくる気配ないし、帰るか。手間かけさせやがって」

頭を下げたままの状態のボクに、数度シャッターが切られて。
マスコミの一人が吐き捨てた唾が、少し地面に跳ねて顔にかかった。

苗木「……」

ボクは、ただ我慢するだけでいい。

49 : ◆hxk3Owz3QA [sage]:2013/08/31(土) 14:20:20.41 ID:j137111S0

不ニ咲「苗木くん……」

マスコミの去った後、ボクは運動場付近の水道で顔を洗っていた。

苗木「あ、不ニ咲さん。ありがとう、助かったよ」

不ニ咲「……どうして笑ってられるの? これから大変なことになるかもしれないんだよ?」

苗木「うーん……どうしてかな。多分前向きさだけがボクの取り得だから、かな」

持っていたハンカチで軽く顔を拭う。
そうして顔を上げたところで、ゆっくりこちらに向かってくる舞園さんの姿が見えた。

苗木「あ、舞園、さん……」

舞園「苗木くん」

……なんだか、プレッシャーを感じる。
舞園さんは、普段と様子が変わらないように見えるけれど。

苗木「あ、その…勝手なことだったよね。…でも、ボクは舞園さんに…」

舞園「いえ、いいんですよ」

苗木「え?」

舞園「……ありがとうございました。それだけ言いたかったんです」

失礼します。と頭を下げて、舞園さんは踵を返す。

不ニ咲「舞園さん!」

不ニ咲さんが何か言いたげに彼女の手を掴み止めて。

舞園「……ごめんなさい不ニ咲さん、離してください」

そして少しだけ振り返った時に見えた舞園さんの顔は、泣いていたような気がした。

苗木「…………舞園さん」


54 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:47:35.56 ID:dPshDsj70

あれから三日が経過した。
あの報道は大分ではあるけれど沈静化した。

……代わりにボクの名前なんかがネットに出回ったりしたけれど……それは些細なことと言える。
自分からネットを見たりしなければ目にしなくて済むわけだし、何てことはない。

とりあえずは舞園さんのスキャンダルは表向き静まった。とはいえまだ懐疑的にものを見る人はたくさんいるには違いない。
火は燻りいつぶり返してもおかしくない状況だ。

舞園さんは……あれから普段と表向きは変わりないように見える。

ボクに対して怒っているのかと思ったけれど、普段通り話してくれるし、笑ってくれる。
だけれど……それでも、ボクと彼女の距離は広がったように感じる。

まるでボクの目の前にいる舞園さんはその外見全てをコピーしただけの人形に見えるような……そんな錯覚すら覚えたんだ。

55 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:48:25.56 ID:dPshDsj70

セレス「苗木くん。苗木くん?」

苗木「えっ、あ、何かな」

セレス「……はあ、あなたさっきからぼおっとしすぎですわよ? 私のナイト共あろうものが……」

苗木「あ、ごめん。……ちょっと考え事しててさ」

セレス「私とのポーカー勝負中に他の考え事、ですか。随分と舐められたものですけれど」

苗木「あ、ちが、そういうわけじゃなくてさ……」

セレス「ふふ、わかってますわ。はい、Kのフォーカードです」

苗木「……ツーペアだよ」

セレス「あら、また勝ってしまいました。今度は何をしてもらいましょうか……」


昼休み、ボクはセレスさんのポーカーの相手をさせられていた。
といっても全く相手にならずにボクが一方的に罰ゲームを受けているだけだったけれど……。

舞園さんは、今日は仕事のようで朝から姿は見えない。今のボクとしては、少し不安だ。

56 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:49:00.24 ID:dPshDsj70


霧切「苗木くん。少し話があるのだけれどいいかしら」

セレスさんが罰ゲームを考えている間、不意に霧切さんが話しかけてくる。

セレス「……あら霧切さん。苗木くんは今私の相手をしてますのよ?」

霧切「大事な話なの。遊びならば後でもいいでしょう」

セレス「いいえ、ナイトである苗木くんにとって私のゲームの相手は何よりも重要なことに違いありませんわ」

霧切「……どうしてもダメかしら?」

セレス「ふむ。ではこう致しましょうか。取り出しましたるはスペードのAとジョーカーの二枚のカード。こちらをシャッフルして伏せますわ」

セレス「さあ、ジョーカーがどちらかお当てになってください。当たれば苗木くんをお譲りいたしますわ」

苗木「そんな、人を景品みたいに……」

霧切「仕方がないわね……でもその前にセレスさん。その右腕の袖に隠してあるカードを出してもらわないと公平な勝負とはいえないわ」

セレス「……あら、いつの間にかこんなところにカードが」

しれっとセレスさんが袖からスペードのエースを取り出した。

セレス「さすがの観察眼ですわね。…他に何か言っておくことはありませんか?」

霧切「……片方のカード、シールか何かを剥がせばエースになるんじゃないかしら」

セレス「あらまさかこんなカードがあるなんて……(棒」

霧切「……もういいかしら?」

セレス「そうですわね。四つあるイカサマの内二つも見抜ければ及第点ですわ。苗木くんをお譲りしましょう」

……そういう勝負だったっけ?

霧切「苗木くん、行くわよ」

苗木「あ、ちょっとまってよ霧切さん!」

57 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:51:17.34 ID:dPshDsj70


霧切さんに連れられてやってきたのは、あの踊り場だった。
そこには既に不ニ咲さんがいて、ボク達二人を笑顔で迎えてくれる。

霧切「……この面子からして、苗木くんに話したいことの内容はわかるでしょうけど」

苗木「掲示板のこと、だよね?」

不ニ咲「うん……。実はね、あのマスコミの時から、苗木くんは大変そうだったから……霧切さんに協力をお願いして色々探ってもらったんだ」

霧切「いえ。こちらとしても個人的に追っている対象ともかかわりがあったから有益な情報交換だったわ。……まあ、それはそれとして」

霧切「あの掲示板は一旦運営により削除されたけど、そのあと再び同じアカウント人間によって作り直された。その際のアクセス履歴などからして希望ヶ峰学園のPCが使われたという事実が判明したわけだけど……」

不ニ咲「えっとね。情報処理室のPCを使うには電子生徒手帳を照合しなきゃいけないんだけど……。その掲示板を作ったIDの人、予備学科の人だったんだ」

苗木「予備学科……」

それは、超高校級の才能を持っているわけではなく、受験をして一般クラスとしてここに通っている生徒達。
……正直、ボクも幸運がなければそちら側だっただろうけれど、校舎が違うから接点もあまりない。……それが何故?

霧切「……そう、そこまでが実は昨日までに判明した情報。最近予備学科のほうで散発的に起きているデモなんかもあってきな臭いものを感じて、その生徒の行方を調べていたわけだけど……その生徒、一週間ほど前に自殺しているわ」

苗木・不ニ咲「!?」

霧切「この案件は二人が思うよりも危険なものになりつつある。今日話そうと思ったのは、苗木くんと不ニ咲さんにもう関わらないようにしたほうがいいということなの」

苗木「そんな、でも霧切さんは?」

霧切「私はこのことから今追っている対象の調査を進めていくわ。……心配しないで、修羅場は潜ってきているし危険なことにはならないから」

不ニ咲「……でも……」

霧切「大丈夫。舞園さんの為にもあの掲示板を作った人間は止めて見せるから」

苗木「………………やっぱり、ボクも手伝うっていっても足で纏いかな」

霧切「ええ、そうね」

霧切さんは取り繕わずにはっきりと言う。
でもそれが彼女の優しさだとわかった。

苗木「……うん、わかった。この件からは手を引くよ。舞園さんの報道も静かになってきてると思うし……ボクは手を引くよ」

不ニ咲「苗木くんがそう言うなら……。でも、手伝えることがあったらなんでもいってね?」

霧切「ええ、ありがとう」

……これで、ボクがあの掲示板に関わることはほぼなくなるだろう。
でも、霧切さんならきっと何とかしてくれるだろう。なんといっても彼女は超高校級の探偵なのだから。

58 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:52:16.33 ID:dPshDsj70



その日の放課後。ボクは寄宿舎の前で仕事帰りの舞園さんと鉢合わせた。

苗木「あ、……」

舞園「苗木くん……」

予想外の遭遇に、気まずい沈黙が降りる。

何か、何か言わないと……。ボクは舞園さんに……。

そう思ったいたところで、舞園さんが口火を切った。


舞園「明日…日曜日に大きなライブをやるんです。知ってました?」

苗木「う、うん! 当然知ってるよ! テレビ中継もやるみたいだし。ボクは行けないけど、テレビで応援しようと思って……」

舞園「ありがとうございます。……でも、今日、脅迫状が届いたんです」

苗木「きょ、脅迫状…?」

舞園「私は卑怯な手でのしあがってきたアイドルだから。ライブを滅茶苦茶にしてやるって……」

苗木「……あの掲示板のことを真に受けてる人がいるなんて……」

舞園「でも、あの報道から。そういう人は結構増えているみたいです」

苗木「えっ」

舞園「嫌がらせに剃刀を入れた手紙だとか。この間なんて収録中に誰かに石を投げられて、もう少しで仲間が怪我をするところでした」

苗木「…………」

59 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:52:43.88 ID:dPshDsj70



舞園「この間、苗木くんが助けてくれた時から、思ってたんです」

舞園「私、このままアイドル続けてていいのかなって」

苗木「……!」

舞園「私がアイドルを続けることで、【傷つく人が増えるなら……】」

苗木「それは違うよ!!」




舞園「苗木、くん?」

苗木「それは違うよ。舞園さん」

苗木「舞園さんは……本当にたくさんの人達の憧れの的なんだ。夢や希望を、ファンの人達に与えてるんだ」

苗木「それは、当然ボクもだよ」

苗木「中学の時初めて舞園さんを見た時からずっと思ってたんだ」

苗木「舞園さんの周りにはずっと笑顔が溢れてるな……って」

苗木「ボクは、そんな舞園さんに、ずっと憧れてた」

苗木「だから、ボクのことを気にして立ち止まって欲しくないんだ。……罵声を浴びせて来る人や、嫌がらせをしてくる人がいたら、舞園さん達の、本気の歌と踊りを見せて……目を覚まさせてあげればいいんだ」

苗木「舞園さんには、それができる筈だよ! だって……キミは超高校級のアイドル……皆の希望の星……スターなんだから……!」

60 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:53:45.18 ID:dPshDsj70

……舞園さんが、呆気に取られた顔をしている。

つい口をついて出てしまった言葉だけれど。もしかしたら物凄く恥かしいことを言ってしまったのかもしれないと、思っていたのだけれど。

苗木「あ、あの。舞園さん」

舞園「……」

苗木「えっ、ま、舞園さん。何で泣いてるの!? ボク、その、変なこと言っちゃったかな?」

舞園「あれ、な、なんで泣いてるんでしょうね…私。あ、違うんです。怒ってるとか、悲しいとかじゃなくて、……苗木くんの言葉が、嬉しくて……」

苗木「その、ボクも、勢いでいっちゃって、あんまり自分でもなにを言ったか……」

舞園「本当に、ありがとうございます。苗木くん。おかげで覚悟が決まりました」

苗木「……そっか。それなら、良かった」

舞園「そうですよね。私はアイドルですから。……変に言葉を紡ぐより、歌と踊りで伝えればいいんですよね!」

苗木「そうだよ、舞園さんならきっと大丈夫。ボクはそう信じてる」






朝日奈「言うじゃん苗木……!」

大神「うむ、あいつは言うときは言う男だ……」

ジェノ「キャー、まこちんカッコイイジャーン!」

桑田「ちくしょー。舞園ちゃん……」

葉隠「いちゃつきすぎてて寮に入りにくいべ…」

そんな二人を影から覗く集団がいたとかいなかったとか。

61 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:54:32.55 ID:dPshDsj70

翌日。

ボクは寄宿舎の談話室のテレビの前にいた。
こういうことに興味のなさそうな十神くんや腐川さん。
仕事だといっていた江ノ島さんや戦刃さん、霧切さんはいないけれど。

同期の仲間達はほぼ皆ここで舞園さんの応援をしてくれるみたいだ。

山田「ぐふふ、愉しみですなぁ舞園さやか殿のライブは」

不ニ咲「そうだねぇ」

セレス「二次専の豚がうるさいですわよ」

桑田「うおー! L・O・V・E・ラブリーさやか!」

大和田「うるせえぞ桑田! まだ始まってもねえよ!」

石丸「そうだぞ! 清聴したまえ!」

朝日奈「えー? ライブだから騒いでなんぼだよー」

大神「我はこういったものの作法は知らぬが…朝日奈が言うのならばそうなのであろう」

葉隠「そうだべ。こういうのははしゃいだもん勝ちだべ! な、苗木っち!」

苗木「うん、そうだね。ここからでも届くくらい応援しようよ」


中継が始まるまで5分ほど前、いよいよな時間になって、ボクのポケットの携帯がぶるぶると震えた。

苗木「…メール?」

それは、舞園さんからのメール。

【最後の曲が終わった後の、私の口の動きを見ててくださいね】

苗木「……? どういうことだろう」

でも、彼女がそういうのならばそうすることにしよう。

62 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:55:12.80 ID:dPshDsj70

「さやかー。もう出るよ? 何してんの!」

舞園「ごめん! 今行くから!」

「ん? 誰かにメールしてたの? もしかして件の彼氏? 本当は付き合ってたとか?」

舞園「……どうだろうね? ……ほら、皆行こう。皆が待ってる」




舞園(苗木くん…皆、私に力をください)




ライブ会場は、二階の席まで含めて全て満席。
あんな噂はあっても、ファンの人は来てくれる。……それはとても嬉しい。

でも、それは今までやってきたたくさんのライブ会場でも同じ、見慣れたいつもの光景だった。


……違うとすれば、これから始まる最初の言葉だ。



舞園「皆さん、今日は、歌う前に少しだけ私の言葉を聴いてください」

メンバーの皆に相談していた。
最初に少しだけ時間が欲しいと。

舞園「……今、私達に妙な噂を立てる人達がいることは、皆さんご存知だと思います」

舞園「だけど、私たちは決して自分達の魂である歌を穢したりするようなことは、絶対にしていません」

舞園「それを、このライブで証明します! 一曲目――」

63 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/01(日) 23:56:57.10 ID:dPshDsj70




それから始まったライブは、とても素晴らしいものだった。

彼女達の歌と踊りは、本当に見るもの全てを笑顔にさせてくれて。

舞園さん達は、本当に凄いんだなって、とても嬉しくなった。

……同時に、やっぱり遠い世界の人なんだなと、実感もしたけれど。

でもそれは些細なことだ。

ボクは、今までのように、彼女を遠くから見ていられれば……。

舞園「みなさん、ありがとうございました!!」

っと、そうする内にライブは終了したらしい。
本当に、あっという間の時間だった。……あ。そういえば、舞園さんのから口元を見てって言われてたっけ。

苗木「……?」

アップになった舞園さんの口が……声に出ないように動いている。

なんて言っているのか少し頑張って読み取ってみたけれど……。
こんな時に霧切さんに習った読唇術が役立つなんて思わなかった。


苗木(えっと、あ・い・い・え・い・あ・うの口の動き…だったかな)

苗木(…あ・い・し・て・い・ま・す?)

苗木「……はは、まさかね」


舞園『うそなんかじゃありませんよ』

苗木「えっ!?」

テレビの前で驚くボクに、舞園さんは……笑顔で言った。




舞園『ふふっ、私……エスパーですから♪』


67 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/02(月) 00:22:25.12 ID:0yHI3VZ+0

翌日。

霧切響子は日曜の校舎内を探索していた。
作成者の書き込みの行動のパターンから見て、今日この時が怪しいと踏み情報処理室へと向かっていたのだ。

霧切「……声?」

情報処理室の扉に耳をあて中の様子を探るが、何者かの声がぼそぼそと聞こえるのみ。
……誰かがいるとすれば掲示板の作成者である可能性が高いが……。

霧切(超高校級の絶望……本当にこの件に関わっているのかしら)

霧切は意を決して情報処理室へと足を踏み入れ叫んだ。

霧切「動かない……で……?」

霧切「誰もいない?」

中には、PCが一台起動しているのみで間違いなく人の気配はない。
霧切はそのPCに近付くと、繰り返し再生されるよう設定されていたのだろう、一本の動画が流れ出す。

白黒のクマ「やあ、霧切さん! 良くこのタイミングでやってきたね! うぷぷ……。それとも不ニ咲さんのおかげなのかな? まあ何にせよ、キミの聡明さに免じてこのゲームはキミ達の勝ちってことにしてあげるよ」

霧切「ゲーム……ね」

白黒のクマ「丁度飽きてきたところだったしね! 掲示板とかは全部削除しといたから。後はご勝手にって感じ? あ、後このデータは自動的に消滅しますので、あしからず~」

そこまで流れたところで。唐突に電源が切られる。

霧切「…監視されていたかしら。超高校級の絶望…捕まえるにはまだ長そうね」





こんな話書いといてなんだけど絶望的事件なんておきなければいいのに…
苗舞で幸せになってほしい


74 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:22:37.65 ID:fhRkYSCi0

苗木「……今日は……本当にいいライブを見られたなあ……」

今でも彼女の歌声が頭の中でリフレインしている。
今夜はこのままこれを子守唄にしてぐっすりと眠れそうだと思っていた時、控えめにドアをノックする音がした。

苗木「? 誰だろ、こんな時間に」

時間は既に夜の11時を過ぎている。こんな時間に部屋を訪ねてくる人物なんて……。

舞園「こんばんは、苗木くん」

苗木「ま、舞園さん!? え、どうして、こんな時間に……!」

舞園「ふふっ。今やっと打ち上げとかが終わって帰ってきたところだったんです。……それで、苗木くんとちょっとお話がしたくて」

苗木「でも。こんな時間に……」

舞園「…ちょっとだけです、ほら、誰かに見られたら大変ですよ? お部屋に入れてください」

苗木「う、うん。じゃあ、ちょっとだけ…」

もし部屋に入るところを見られてたら本当に大変だよ……。

75 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:24:00.63 ID:fhRkYSCi0


舞園「ふふっ、初めて苗木くんの部屋に入っちゃいました」

苗木「何もない部屋だけどね……」

舞園「へえ、苗木くんはこういう本や漫画読むんですね……」

苗木「は、恥かしいからあんまり見ないでよ」

舞園「ふふっ。苗木くんのこと、色々と知りたいですから」

こちらに向けられる笑顔に、やはりどきりとする。
というかトップアイドルに笑顔を向けられてドキドキしない男がこの世にいるのだろうかと思う。
しかも、部屋に二人きりのこの状況で、だ。

舞園「……それで、苗木くん。今日のライブ、どうでしたか?」

苗木「あ……凄かったよ! 凄く良かった。本当に……皆笑顔で……舞園さん達が本当に凄いアイドルなんだって思い知ったよ」

舞園「ありがとうございます。脅迫状を送った人もそう思っててくれればいいんですけど…」

苗木「大丈夫だよ。だって実際に何事も起きなかったんでしょ?

舞園「……そうですよね。……それで、苗木くん」

苗木「?」

舞園「あの言葉への返事、聞かせてくれないんですか?」

76 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:24:51.63 ID:fhRkYSCi0

苗木「えっ、そ、それは、その……」

舞園「じーっ」

苗木「えーっと」

舞園「じーっ」

うう、そんなに見られたらどうにかなりそうだよ。

苗木「その、ボクも……」

舞園「苗木くんも……?」

苗木「ボクも、舞園さんのことが好きだよ」

言えた。なんとかどもらずに言えた。
そしてそれを聞いた瞬間、舞園さんから花のような笑顔が零れる。

舞園「私もです。両思いですね、苗木くん」

苗木「……いいのかな、ボクなんかが」

舞園「いいんですよっ。私は欲張りですから、アイドルの座も、苗木くんも、両方手に入れたいんです」

苗木「……舞園さん……。……?」

なんだろう、今、立ちくらみのようなものが……眠いのかな。

舞園「…………でも、本当に最後に、それを聞けてよかった」

77 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:25:38.24 ID:fhRkYSCi0


苗木「最後……?」

舞園「苗木くんは、強い人です。全部を引きずって……それでも前に歩いていける、私なんかよりずっと凄い人」

苗木「舞園さん?」

舞園「だから、本当に最後に、その言葉を聞けて……その言葉を思い出せて良かった。私はこんな凄くてかっこいい人と、恋人になれてたんだって」

苗木「舞園さんっ……!」

なんで、そんな寂しいこと言うの?

……ダメだ、視界が揺らぐ。

ボクはまだここにいたい。

舞園さんと一緒にいたいのに!

舞園「……苗木くん。私はいつでも、あなたの傍に……」

意識が落ちる瞬間。舞園さんはボクに顔を近づけて、そっと…唇同士が触れた。

舞園「さようなら。苗木くん」

舞園さん……。

78 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:26:33.88 ID:fhRkYSCi0


苗木「いかないで!」

霧切「!!」

そして、目が覚めた。
……周囲を見渡す。
ここはボクの部屋だ。ただし希望ヶ峰学園の寮室ではなく、未来機関にあてがわれたマンションの一室。

そして、ベッドの傍には…驚いた顔の霧切さんが立っていた。

苗木「……霧切さん?」

霧切「あなたが起きてこないから起こしにきたのだけれど……。……苗木くん、手が痛いわ」

苗木「え? わっ、ご、ごめん!」

どうやら寝ぼけて霧切さんの手を強く握ってしまっていたらしく、慌てて離す。

霧切「……悪い夢でも見たの?」

心配そうに聞いてくる霧切さんに、ボクはかぶりを振って答えた。

苗木「ううん……。そんなことないよ」

悲しい夢ではあったけれど、とボクは言わずに立ち上がる。
そして、窓を開け、マンションの3階から見渡せる景色を眺める。

79 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:27:12.66 ID:fhRkYSCi0


苗木「……あれから1年か……あの時に比べたら大分復興したね」

霧切「ええ。……今度、鉄道も少しずつ走りだすそうよ」

苗木「そっか。そうすれば物流なんかも良くなるし、更に復興が進むね」

霧切「…………あなたが」

苗木「え?」

霧切「あなたが撒いた希望の種子が、皆の中で芽生えたから。……日向創を代表とする78期生や他の絶望の残党も更正させることが出来た」

苗木「……」

霧切「この景色は、あなたが手に入れたものよ」

苗木「…………ありがとう。平凡なボクも…………。少しは、舞園さんに……皆に、胸を張れる人間になれたのかな」

霧切「(そう、今日は彼女の……) ……間違いなく、ね。私が保証してあげる」

80 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:28:49.83 ID:fhRkYSCi0

『苗木くんは、皆の希望になれる人です』



苗木「良かった。……。……。……。霧切さん」



『だから、私のことで立ち止まって欲しくない』



霧切「何かしら」

苗木「……ボクは、この一年、ずっと涙を流さないようにしてきたけれど……」

霧切「……」

苗木「今日だけは、泣いてもいいかな」



『どうしてそんな先のこともわかるのかって?』



霧切「……ええ。あなたには、その権利がある」



『だって私は――――――――』



舞園さん、ごめん。
今だけは、立ち止まらせて欲しい。

この涙を流しきれば、また頑張るから。

君がいた世界を、また優しい世界に戻して見せるから。

81 : ◆hxk3Owz3QA [saga]:2013/09/03(火) 23:29:25.33 ID:fhRkYSCi0

苗舞はやれ~ってことでくぅ疲

ありがとうございました

テーマ:二次創作 - ジャンル:サブカル

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